2018/05/24

休みにした日:朝から映画






5/24(木):ここのところ、連日コンをつめている感じがしたので
「今日は休みっ!」と決める。自営業なので自由なのですが、それゆえ
仕事をし続けるってことだってあるのだ。暑くなるという天気予報
だったけど、雨上がりだからか朝はひんやりとしていた。    



出張や、来月のイベントもあるので午前中から出かけることに
体を慣らしておかないと、と思っていたのでちょうどよい。 
目的地に向かう道すがらツツジの花が複数、落ちていて、  
その一つが妙な浮遊感を醸し出していて、目を引いた。   
んー?                         


…と、近づいて見ると、絶妙なバランスで
縁石のフチにぶら下がっていました。  







目的地は映画館。まあ、平日だし、席を予約して
行かなくても大丈夫かなー?なんて思ってたのに
結構な行列になっていました。良きことなり。 
*ちゃんと、座って観られました。      




観たのは画家・熊谷守一(くまがい もりかず)を
主題とした「モリのいる場所」。




熊谷守一展で、この映画のことを知り
気になっていたのです。*上の写真は
熊谷守一、本人。         




「今日は何も(仕事を)しないぞー」と思って出かけた日に観るにはバッチリの映画でした。

私の言う「何もしない」など、モリ(熊谷守一)に比べたら甘いものだ、人はなんでセコセコ
しちゃうんだろう、と庭の植物や昆虫や猫や鳥を、時には石を、池を、ひたすら、「普通」の
ペースで暮らしている人たちから見たら「何もしていない」ように見える行動をする主人公を
観て思う。例えばアリを、ただただ見つめる、観察する、感じる。私自身も絵描きなので、 
わかるわー、と思ったのは、その、見つめる時間の長さと創作の時間のバランスだ。見つめる
のが9割・創作が1割ぐらいかもしれない。それで抽出されたのが作品だ。頼まれ仕事をする
時に、描いたことがないよー、というモチーフだって、普段から(頼まれる前から)、見て 
おけば、自分の中でパッと出てくるように、普通に生活していることだって勉強とも言える。

それから、モリが美術館に行って絵を見てインスピレーションを得て絵画にするのではなく、

植物や昆虫などを見つめたのもポイントで、絵描きになるために素地は必要かもしれないが 
(実際、モリも若い時は写実的な絵を描いていたし、言うたらすごく「上手」だ)、芸術家の
周りにあるものは全て、自然だって、食べることだって、何かの創作意欲の源になったりする
もので、医学部に行って医者になる、のは当たり前だけど私みたいに文学部に行って絵描きに
なるような人も、結構いる(建築科を出てグラフィックデザイナー、って、どなただっけ)。
私も基礎は大事、と思っていたので手習い程度には美術学校には通いましたが、文学部で  
詩人たちが身の回りの「世界」をどのような視点で眺めていたのか、解釈したのか、と言う 
ことを知ることは、後々、創作する上でのヒントになった・私を形作るものになったと思う。

終盤まで観て、「あ、そうだ、これ、画家についての映画だった」と気づかされるほどに、 

この作品の中に実際の創作のシーンは少ない。自分の創作は夜だけで、仕事を依頼された時も
描きたくなければ描かない。それに反して、日中飽かずに見つめたものから受け取ったものを
頭の中から取り出して、他者が見られる形に・具現化しないといけない、というような、  
「頼まれ仕事」ではない・自分に課された画家としての役割のようなもので絵に向かう際に、 
いいなあ、みんなは"学校"に行かなくてよくて、と言うような台詞を残して、妻と対戦して 
いた碁盤を離れてアトリエに向かうモリが印象的だった。描かねばならないものと向き合う 
事は、もう、なんと言うか「見る」時と同じように一対一の真剣勝負のような感じがある。 
それは文章、音楽、美術、あらゆる表現者に任ぜられた、逃れられない使命みたいなものだ。

いくつか、えええ、と思うような演出はあったけれど(ネタバレになるのでモゴモゴ…)、 

全体的に淡々として、力が抜けていて、ところどころ笑いが起こるような良い映画だった。 







映画の余韻に浸りながら散歩。紫陽花が今年は早く見頃を
迎えているそう。砂糖菓子が沢山、詰まったようなのを 
写真に収める。映画の中にカレーうどんが出てきたので 
影響されてカレーうどんを食べる。盛岡書店を少し覗く。



後日、別の場所で「砂糖菓子」のような部分が
開いた紫陽花を写真に撮れました。



ちょっと歩き疲れたので、銀座四丁目交差点に
出来たばかりのビルに初めて入って見る。  
犬型ロボット・AIBOがいた!        




銀座線で末広町の3331に移動して「もしもSNSがなかったら」展を
サラリと拝見。なかったら、私の場合…いっとき使っていたFlickr
(フォト・シェアリング・サイト)のおかげで、オランダの絵本作家
ハーティさんヒッテさん)やアーティスト(ハーティーの姉妹の
マールチェ)、初めて欧州に行くきっかけになった合同展を企画
してくれた、フランスの画廊主パトリックにも会えていない。  




SNSの歴史の年表を見ていると、わー。過渡期に学生時代を過ごしてるんだな!
と気づく。先述のオランダ在住の友人から、まだ日本でフェイスブック使用者が
さほど多くない頃に「招待」してくれて、なんだこれ?って感じて使い始めた 
(けど日本人の 「友人」がいない…)こととかを、懐かしく思い出す。    

ツイッターは、やるもんか!と思ってたのけど、8年前の大阪での合同展の時に
やってみようかな…と始めたことだとか。会場で実際に、インターネット越し
ではない展示作品を鑑賞して、それをさらに写真に撮ってツイートしたり、 
インスタグラムに放つような動きが面白いなとも思う。人がインターネットを
通じて発した生のもの(絵や写真や言葉や)を、実物で感じて、元のインター
ネット社会に戻す、それを見てまた誰かが会場に足を運び…くりかえす波。 






末広町の会場から、どうやって帰ろうかな、と
とりあえず秋葉原の方に向かって歩く。探し物
で量販店などにも寄ってみた。外国人観光客が
多いせいか、対応してくださった店員に中国語
で私に話しかけられて「に、日本語で…」と 
いうような事も。今日は休日!と決めた日、 
映画に、展示に、電気街にと盛り沢山でした。

イベントの準備や、二人展の巡回展や、出張の
事もあり手や頭の中が忙しいけど、いったん 
それらから離れて、いい時間が過ごせた。あ、
明日もまたお楽しみ(コンサート)が待って 
いるんだった!しっかり休んで、心身ともに 
充電完了したら、また手と頭を動かそう。  















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