扉ページには、10月の個展「20」の
案内状のアートワークも登場。
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テーマは「紙と近代建築を巡る京都」旅。
写真)や、村松英和さんが内装を手がけた
かみ)の工房などを巡りました。
*誌面の写真は小檜山貴裕さん撮影。
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旅の写真
京うちわ阿以波にて。ハッとするほど美しい。
近くで見ると、うちわの骨に貼り付けられた緻密な切り絵のように繊細な紙の
上に日本絵の具で彩色をされている事で立体感があり、驚きました。
絵の具だけでなく下の写真のように、刺繍で飾られたものも。
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うさぎの毛並みが可愛らしい。余談ですがこの旅はなぜか、
行くとこ、行くとこ、うさぎづいていていました。
うさぎ、そのいち、に。(お茶をいただいた器にも)。
こんな風に両面で骨を挟んでいるのです。"旅をするのを取材される"というのは
初めての経験だったのですが、私自身も貴重なお話を聴かせていただく・取材
をしているような部分もあり、こんな風に職人の方と面と向かって、一対一で
語らえるとは!と感慨深買った。一つのうちわを作るにも竹を見極め選ぶ人、
紙を切る、うちわの形にする、彩色をする、刺繍をする、分業というか、それ
ぞれに専門家たちがいるので、作り続けるには、どこかの工程が抜けてしまっ
ては困る、次の世代を育てていかないといけない事など、京都らしい柔らかな
口調の中に、熱い志を感じました。
*
手紙用品などのお店・嵩山堂はし本の
のれんなど、あちこちに、うさぎ。
卯年生まれなので、ちょっと嬉しい。
購入した絵葉書はこちら。試し書きができるコーナーで
筆をお借りして、東京の家族に一筆したためました。
本当に一筆、「京都より一筆」とだけ。笑。
*ちなみに、はし本は東急プラザ銀座にも出店しています。
京都駅前にある中央郵便局の窓口から「風景印で」と
伝えると、こんな風に舞妓さんの絵が入った消印を
押してもらえますよ。
*
そして、京都の四条大橋の東華菜館へ。ランドマーク的な建物なので
外から見たことはありましたが、入店は初めて。取材の役得で客室は
ほとんど全部みせていただきましたが、各階・各階、雰囲気が違って
面白い。上の写真撮影は編集部のKさんが撮ってくれました。
この動画にありますが、エレベーターで「おっ!」と思う
発見をしました。詳しくは誌面にて…!
日本最古のエレベーターも印象的でしたが、階段も雰囲気があって
とても素敵でした。ウォン・カーウェイの映画「花様年華」的?
美人画が描かれた照明器具など、中国風・東洋の
エキゾチックさと、教会にありそうな、木で組んだ
棚やモダンな照明器具など、洋風の空気感もあり、
和洋折衷。いい具合に混じり合っています。因みに
アメリカ人の建築家・ヴォーリズの設計です。
*
和洋折衷、といえば、今回の旅で京都に行くのに
フレンチを食べたり、洋館に行ったりもそうかも
知れず、また、東洋と西洋だけでなく日本と唐の
国(今の中国)から来た文様を、木版画で和紙に
模様付けをし、襖(ふすま)紙などにも用いられ
にも伺って、お話を聞くことができました。
唐紙には雲母(うんも、キラキラしている鉱物)
が使われているものも多いので、照明の光を受け
金色に輝いていて美しかった。
ここでも(京うちわの柄、お湯飲みのうさぎ、
手紙用品見せ・はし本…に続き)唐紙を作る
工程を見学させていただいた際の板木がコレ!
でした。花と波とうさぎ。このうさぎは、
「あちら」と「こちら」のメッセンジャーのよう
な存在として描かれていると聞く。
唐長の工房に伺ってすぐに拝見したのがこちら。どなたかの所有する
古い日本家屋を壊そうか、という時に、表具師だったか、建具を譲り
受けた方が襖紙を見て「この柄は唐長さんとこのと違うやろか」と
持って来て探してみると、まさに同じ板木があったのだとか。それを
知った家主は取り壊しをやめ、一部の内装を変えるのみで、古い家を
残し、新しく刷られた唐紙が部屋を飾ったのだとか。お話を伺った
のは11代目の当主(現在は12代目に代替わりしている)ご夫妻。
とても素敵な方々でした。東京だと数十年でも歴史を感じるのに、
京都だと数百年単位なんだ!と。スケールの大きさにクラクラ。
初めまして、ワタクシはこんなことをしているものです、と自己紹介
がてら、名詞と共に、絵本にもなった切り絵の絵葉書をお渡しすると
じいっと眺め(私、少し緊張)、これはすごい、と言っていただいて
(ほっ! &)嬉しかった。切り絵はどうやって作るのかと質問をされ、
制作するとき(→ こんな風に作っています:映像・neru lab)には、
考えるのでなく手が動くのだという話をすると「まさにそれ」という
風に頷かれ、畏れ多いけれども、世代や分野を超えて、職人仲間感を
感じる。数値が一定ではない自然の素材を相手にしているので、
何グラム入れればちょうどいい、というものではなく、感じ取ったり
勘というか、自分も自然のもののようにならないといけない、って
話、すごくよくわかります。
たくさんある板木、この版木は、この色を用いなければならない、と
いう決まりはないというのも面白かったし、職人(クラフトの作家、
技術)と、作家(アートの作家、自分の作りたいものを作ること)の
違いというか、作り手の主張は控えめに、良いものを作るること、
それ(京うちわなり、唐紙なり)を実際に使う人に楽しんでもらえる
余地を残すこと。例えば庭師が完全に作り込んでしまうと、それは
彼の"作品"だが、"持ち主の庭"であることを保つこと(が大事なんだ
よ)というのような話、ああ、反省点あるなあ、と自省。
写真の右側:千田堅吉さんの奥様・郁子さんも、とても
素敵な方でした。私家版の自伝「唐長 IKUKO」、拝読
いたしました。おしゃれである事は大事だなあ、と
伝わってくる、華やかな方。写真の真ん中に写っている
のは、京都在住の作家仲間の ひろせべにさん。一緒に
工房見学させてもらいまいた。& 動画の「番外編」で、
鳥を観察しながら私が会話してるのも、べにさんです。
*「なごみ」8月号にも、べにさん登場!
*上の写真は編集部・Kさん撮影
*
番外編
これらの写真は雑誌とは関係ない番外編ですが、一泊二日の京都旅、
夕方は自由時間だったので、べにさんと夕食を楽しみました。
顔なじみの店主にフレンチレストランの話をしたら、対抗してか、
きのこの入った料理を「…"きこり風"」と出してくれました。「えー。
「"きこってる"のー?」と、べにさん。食後、私も親指を「いいね!」
みたいに突き出し「きこってました!」と笑う。*皆、シラフです。
和菓子のお土産をいただく。京都では6月末日に、厄払いのように
水無月(という和菓子)を食べるのが定着しているのだそう。
この日は5月末日でしたけど、一ヶ月先取り、パクパク。
それから番外編ついでに:取材の合間に、次の予定までに不意に時間に
余裕ができたので、(坂本千明さんが個展をしていたり)気になっていた
「にこげの日々」と、うさぎの便箋を手に入れました。
*
紙と建築に注目した今回の京都旅。展覧会で京都に行くとかは
あるけれど、純粋に旅をしてもいいですよ、どこに行きたい?
何を見たい?と聞かれたときに、建築は、詳しくはないが純粋
に好きだし、美術品と違い、実際に足を運んで体感してこその
ものなので、大好きな伊東忠太が手がけた建物(は誌面で!)
などにも立ち寄らせていただいたのですが、この、上の写真の
お聞きして訪ねた場所。ちょっと前の写真で和洋折衷の話に
触れましたが、基本的に洋風なのですが、上階に和室(通常は
非公開、撮影禁止ですが特別に入室させていただきました)が
あり、その秘密の部屋感だとか、お城の天守閣のような眺めの
良さや装飾のセンスなども、素晴らしかった。
「なごみ」8月号の記事で、三つ、やりたいことを
挙げた中に「美味しいものが食べたい」という
欲望をあらわにして恥ずかしいようなことを
入れたのですが、ここのレストランで頂いた
お料理は、多少なりとも旅疲れをした体に
入った途端に、目がキラーン!となるくらい
お、美味しい!(そして絵のように美しい盛り
付け、給仕の方々の所作)と、いや、美味しい
ものを食べているときは確実に幸せだな!と、
再認識するような幸せな時間でした。
後日追記:京都といえばハモ、ハモを食べたいな、と
思っていたところにボウイさんが、「こちらは、ハモを
…(なんとかかんとか)」と説明してくださって、その
瞬間に、つい「ハモ!」と声を発してしまい、「…お好き
ですか」「…はい」なんて会話をしたのも、思い出すたびに
笑ってしまうエピソードです。ちなみに「孤独のグルメ」
よろしく、一人での食事だったため、いちいち、自分内
だけで「なんだこの美味しさはー!」などとスパーク
していて、多幸感が大変なことになっておりました。
食後に、じっくり建築の細部を拝見。この天井の
細工など、おそらく漆喰だと思うのだけど、
天井にホイップクリームをデコレーションして
いるようなものではないのか、と目を見張ったり
床の模様がシンプルだけど洒落てたり、建築+美味しいもの、で多幸感が半端で
ない時間を過ごしました。ありがとう、教えてくれたマリさん、長楽館の皆様、
*
ウサギノネドコにも行けました。
鉱物をデザートに見立てた
ディスプレイが美しかったり、
佐々木類さんの作品(ガラスに植物を
挟んで、いわば焼き切ってしまって、
その痕跡が残っているもの)素敵、と
見とれたり。
ウサギノネドコの内装などを手がけた、
村松英和さんと再会。京都の絵本店・
メリーゴーランドでの個展の時に
「初めまして」をしたので、お会いする
のは5年ぶり、2度目なのですが、
なんか和んでますね。笑。
*写真撮影は編集部のKさん。
母校のアーチを思い出すレトロな
雰囲気の一角もあれば、
この写真のようにモダンな、近未来的なエリアもあって。
鉱物に見立てたゼリーを頂きました。
写真はカフェのみですが、お隣に
鉱物や、"sola cube"(標本をアクリル
に閉じ込めたオブジェ作品)などが
並ぶショップ、その上に宿も!あり。
面白い空間でした。
*
\おおきに、キョート !/
\ただいま、トーキョー ! /
編集部Kさんと駅前で別れてから、
うっかり、(各駅っぽい新幹線)
「こだま」に乗ってしまったのは
今となっては、笑い話です。
*
旅行後記も書いてます、ぜひお求めください〜
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