2018/10/02

個展「20」初日:お花や、小田部さん奥山さんのこと






2018/10/02:個展「20」初日!無事にスタートしました!お天気も、前日の設営日のような暑さはなく、程よい気温と暑すぎない陽気。よかったー。   




会場に到着すると、お花が届いていました。ベネッセのお仕事の時にお世話になった映像会社・バックストリートより。感謝!ピンクッション(という花)の形を、手で真似てるところ。ベネッセでの映像の仕事は、工作のお姉さんのような映像教材に出たことがあるのと、題字を手がけました。近年も映像教材のDVDや、アプリで見られる??ようです。こどもちゃれんじ、利用なさっている方は探して見くださいね。                     


そんなこんなしているうちに、もう一つお花が届き、びっくり、う、宇多田ヒカルさーん!!(のスタッフ皆様から!)。嬉しくなっちゃう。



なんで宇多田ヒカルさんのスタッフからお花が?って方も読んでいるかもしれないので書いておくと、2016年のNHK朝ドラ「とと姉ちゃん」の冒頭の映像(の記事はこちら)の絵を手がけた私、その主題歌で宇多田ヒカルさんの活動休止からの復帰・第一作「花束を君に」のミュージック・ビデオの絵もドラマの為の映像チームと同じメンバー(映像作家・小川純子、アニメーター・小中志展、絵・…ドラマでは写真・大沼ショージが加わっています)。その時のフォトプロップスは会場に持ってきておらず、私家版「貼り絵の作りかた」の実作例を壁から外して記念撮影しました。  




道ゆく人を観察していたら、お花を見て、「えっ!宇多田ヒカル!??」ってなっている方もいらしてねー、なんだか不思議ですよねー、と心の中で頷いたり、実際に入ってきてくださる方もいて。      



そうそう、「とと姉ちゃん」のオープニングの原画も2点飾っています。実は青い服の少女は2体あり、花束を持っている方が(NHKサービスセンターという、展覧会を企画する会社にお預かりいただいて)巡回展をしていた方で、もう一体はハロー!ブックスなどのイベントや奈良での個展でも展示していたほうなので、自分の個展での展示はお初)。   


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お花の話ばかりですが、夜にいらしてくれた佐渡仲間(佐渡でのイベント「ハロー!ブックス」でご一緒した方)が下さったお花は今日着ていた服にピッタリ!でした。会場でお披露目  している佐渡関連のお知らせもあるんだけど、それは後日また。



お花のことで一通り嬉しくなって、長年お会いしたいなあと思っていた方や、お仕事したことあるけど(デザイナーを介したつながりで)実際のご挨拶は「初めまして」の方や、遠方からの方、長時間見てくださる方、6月の紙博で案内状を配布したの(お忘れの方も多いだろうなあ、と思っていたのに!)いらして下さった方、などなど。 ありがとうございます。間髪を開けずに嬉しいことが:

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「アルプスの少女ハイジ」や「母をたずねて三千里」など、名作のアニメ作品のキャラクターデザインを手がけている小田部羊一さんが来場!前にも書いたのですが、「20」年前、私の初個展会場に風のように現れた奥山玲子さんという女性がいました。小田部羊一さんの奥様です。

奥山さん御自身もアニメーターで、私が作家活動を始めたばかりの頃、個展を開くとお出かけくださって、何をどう、というのではないけど見守って、励ましてくださっていたのです。 
お亡くなりになった後に、寂しくて、もう連絡先もいらないのかもと消してしまいました。

一昨年、仕事で初めて佐渡に行くことになって、ガイドブックを求めに書店に出かけたら、小田部さんが展覧会をしていて、偶然お会いすることができたのです。どなたかとお話しされていたので(後日お聞きしたら奥山さんのご家族だった)、ご挨拶せずに帰ろうかと思っていたら、なんと小田部さんからお声がけいただいて!

当時放送中だった「とと姉ちゃん」を観て、このオープニングのアニメーションの絵は、あの(奥様が応援していた)辻恵子さんだよなあ、と気づいて下さっていたようで、感動。ああ、奥山さんが会わせてくれたんだね、と感動をしていたのでした。     

小田部さんとおしゃべりをしていたら、蝶々が迷い込んできて、画廊の天井近くを一回りして、外へでて行きました。奥山さんかな、と思っちゃいました。「あら、二人でおしゃべりしてるのね、楽しそうね!辻さん、20周年ね!おめでとう」とかって。言ってくれてたことにしますよ玲子さん。 

おしゃべりの中で教えてもらったこと:もう言ってもいいらしいのですが、今度4月から始まる朝ドラは、奥山さんがモデルになっているらしいです!!広瀬すずさん主演の作品。日本のアニメの創成期の女性アニメーター、という骨組みがモデルなだけで、実際の彼女の人生と異なるところも多いよう(ネタバレになる可能性があるので、お口にチャック)…ですが、そうかあ!楽しみ!そして奥山 さんの良さを伝えたい!って(勝手におすすめモードに)なりました。 





まずはじっくり作品を見て下さってから、こんなに長くおしゃべりできたのは初めて、というくらいじっくりとお話を伺えました。

台湾で幼少期を過ごした小田部さんが戦後に日本に戻ってきたときの話(満州からの引き上げを経験した方のような惨状を想像していたのだけど、台湾ではとても安全だった事)、現地では日本語、日本食で日本と変わらず過ごしていた事("植民地"って、そういう事なのか〜)。

それから、高畑勲さんは東大仏文科で、小田部さんは藝大日本画科で学んだこと(当時は日本画科の試験は水彩で受けられたのだ そう)。私も文学を学んでいたことがあり、その時の経験は絵の仕事に無関係ではないというか、むしろとてもいい骨組みになっているように思う。

詩人が世界を、どんな風に(多くの人とは違った、新しい角度で)見ているのかを 垣間見ることは、作品づくりにおけるヒントをもらえたような感覚もあって、絵の制作に必ずしも無駄ではない、と思っています。

また、先ほど話に出した宇多田ヒカルさんも、ドラマのOPと主題歌のMVの仕事で、ただの聴者として以上に、真剣に向き合った時に「ああ、この人は文学の人だ!」と、歌詞に 文学を感じたのにも通じる話。

文学とはなんぞや、と聞かれると即答できないけれど、捉えどころのない、形のない、言葉にできないと思われるものを第三者に見える形・言語化する、たくさん紡がれる物語の中で、古くなり、消えていくものもあり、普遍的なものは世代を超えて伝わる・残る。本も、 
音楽も、絵も、多分。

それと、小田部さんが、日本画を学んだということも、ああ!だから線で捉えることに卓越しているのか!(今はコンピューター・グラフィックスも多いけど当時のセル画のアニメも、日本画の技法も、線で 描く)と、すごく腑に落ちて。教育って、学ぶことって、大事!とも思う。 




手作り豆本「ぞうさんぽ」の仕組みを説明したら笑ってくれました。




小田部さんが線画を褒めて下さったのも大変嬉しく、選んでくれたのを撮らせていただきました。これ、今は作ってないかなり前のものなので、現品あるのみ。





そうそう、なかなか会場の写真が撮れていませんが、今回の挨拶文は長いです。会場で、ぜひ。


後日追記:2019年5月


小田部さんたちとの写真、データではなくて物質的な写真にしてみました。左上はお世話になった元・カフェノマドのオーナー夫妻。
 
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初めて個展を開いてから20年、長い道のりを歩いてこられたようにも、
絵描きとしてはハタチだと思えば、まだまだ先が長いようにも思う秋。
紙で遊んでた初心に戻るような気持ちで、小さな展覧会を開きます。

辻恵子( http://www.tsujikeiko.com )個展「20」

会期:2018年10月2日(火)〜8日(月祝)
会場:CONTEXT-S 阿佐ヶ谷
*JR阿佐ヶ谷駅南口から徒歩5分 
企画:ing  (駒ヶ嶺三彩さんキュレーション週)
住所:〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1-47-4
電話:03-3317-6206
交通:JR阿佐ヶ谷駅から徒歩5分

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