2019/09/25

「緋色のマドンナ」装幀画と題字を制作






2019年9月25日発売の那須田淳・著の書籍「緋色のマドンナ :陶芸家・
神山清子物語」(ポプラ社)の装幀画と題字を辻恵子が制作しました。
次のNHK連続テレビ小説「スカーレット」の主人公のモデルとなった 
陶芸家・神山清子さんについての本です。                                                




装丁デザインはnext door designの岡本香織さん。とても素敵な一冊になったので、あちこち、多分他のページではこんなに撮らんだろうというくらい(笑)あちこちから撮った写真をご紹介。



背表紙と表紙



カバーを外した時の背表紙


カバーの下の表紙


扉ページ




…を、めくったところの縦組・一列の題名。ちなみに、原画というか原「文字」?は、表紙と同じく縦に2列。







巻末には、岡本さんが配置してくださった横組みの題字も発見。
*下の写真はオビの内側(折って、表からは隠れている部分)です。




「緋色のマドンナ」(緋色は黄色味がかった赤のこと、スカーレット)だからか、しおりの紐も赤です。  




裏表紙(初めて絵本の仕事をした時に覚えましたが出版関係の業界用語で表4:ひょうよん、って言います)…は、真っ白にしてもらいました。潔く見えます。してもらった、というのは、表紙の絵は、実は切り絵。2012年のやぶさいそうすけでの個展の際に制作した絵の一部で、抽象画のように絵の具を塗った紙片から、もともとある色を活かし、ハサミ
を使って人物像を切り出したもの。人物像が抜け出たというか、切り抜かれた後の紙片を表4に、という案もあったのですが、絵の成り立ちを説明をする(これは切り絵でして、この色の連なりから人物像が切り出されているんだよ、という)ようなことは何か、この本にとってはいらないかもと。



私の作品や、この本に興味を持って、このブログの記事を読んでくださっている方には説明してもいいかな、と原画の一部をお見せすると、こんな風になっています。まさか6年後に本の表紙になるなんてねー、びっくりね。


表紙の絵は旧作品なのですが、題字は(もちろん)作りおろしです。先日・2019年8月のニエンテでの辻恵子作品展に出展した抽象画の中に、糸へんが隠れていたのは、その制作時に試作したもの。


題字を試作中に、ゲシュタルト崩壊して、つけペンで書いた「緋」の文字が人の横顔に見えてきたりとか・・・。    




習字というか、筆と墨でも題字を試作した後に、失敗作というか、これはないかなという紙をビリビリっと破いていた時は、ドラマ「SPEC」のヒロイン(習字をして、それをビリビリに破いて、宙に投げ〜犯人がわかった!と閃くシーンがある)を思い出していたのですが、それを演じていたのは「スカーレット」の主人公戸田恵梨香さんだったりします。私がオープニングの絵を制作した「とと姉ちゃん」が2016年、恩人の奥山玲子さんが主人公のモデルとなった「なつぞら」を今(2019年)やっていて、次のヒロインのモデルについての書籍の表紙に関わるとはー、と、ちょっと不思議な気持ちもしています。*「スカーレット」は9/30から放送開始、この本は9/25発売。          



役得で早めに見本をいただいていたので発売日前の9/23、一気読み。著者の那須田さん、実はすごく前(2008年?)に画廊で名刺交換をしたことがあるあの人かも、と略歴にあるベルリン在住の文字で思い出しました。専門学校の文学科をでているくせに、ものすごい読書家という訳でもない私ですが、恩師の一人の金原瑞人先生や、茶飲友達 だった天野健太郎さん(故人)などは、お蕎麦を食べる時の「ツルツル」感のように、するする文章が入ってくる 
感覚がしていたのだけど、はっ、那須田さんも(自分史上3人目の蕎麦系?)などと思う感じで読み進められました。

ドラマを楽しみにしている方のためにネタバレは控えたい けれど(なので真っさらな状態で番組を観たいになる方は読み飛ばしてください→)もしかして初の離婚するヒロインかも???そして楚々としたお嬢様ばなしでなく、関西が舞台だからか「じゃりン子チエ」的な激しさかも?と想像しています。作品を作るという点では私も主人公も同じなので、わかるわかる、となる部分も。特に「土の声」という言葉には、私、紙の声ってエッセイかいたことあるなー。ついこの間テレビで観られた映画「あん」でもそういう、言葉なきものの「声」を聴く、感じ取ることについての描写が出てきたなぁ、創作する人に共通する普遍的な感覚なんだろうな、と思いました。             


ちなみに私の初めての文筆の仕事「紙の声」は、なんと文芸誌の「すばる」にお声がけいただいて書いたもの。古本屋で探してみてください。2005年9月号です。            




話があっちゃこっちゃ飛びましたが、素敵な一冊になりました。
ぜひお読みくださいね。版元・ポプラ社のでの書籍詳細はこちら:
https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8008251.html?fbclid=IwAR0tYCCt5rxGb5DQ26CSVgWiiNMGu27CXVVI_L6ZqaqOvJMqmbxX3X1LgtI


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