2016年を振り返ると、言わずもがな、朝ドラのお仕事「とと姉ちゃん 」の
仕事が中心となった一年でした。 昨年10月にお声がけいただいてから、
実際に絵を製作し始めたのは1月後半から。私は時々現場で垣間見ただけ
ですが、 関わる人々の熱量というか、それぞれの分野で良いものを作る!
という気概と、回数が多いため、どんどん撮っていくライブ感を 感じて
いました。(前年、初めて見学したドラマ「紅雲町珈琲屋こよみ 」は、
一回だけのドラマで、カメラアングルを変えて何度も撮影していたけれど
朝ドラではスイッチングしながら、一発で色々な角度から撮ったり)。
VIDEO
4月、「とと姉ちゃん」の放送開始の頃にはもう、その 主題歌で
宇多田ヒカルさんが歌う「花束を君に」の ミュージック・ ビデオを
作り始めていました。 映像の仕事において、私・絵描きの仕事は
いわば 大道具や、役者を作る人。 演出をした小川純子 さんは監督で
あり、 脚本家。そして動きをつけてくれた小中志展さんが いてこそ
の 完成でした。 初めて「花束を君に」の絵コンテをみた時、 学生の
頃 、とりつかれたように描いていた人魚が出てきて 驚いた のですが
一方で、 その絵コンテに宇多田さんも インスパイア されて 「人魚」
の歌詞を書いたと、アルバム発売時に インタビューで読んで、我々
チームと作品で 対話をしているかのよう、と有り難く 思いました。
6月には奈良のNAOTで個展をしました。この個展をしたいと
会場の方に相談した当初は、3月まで表紙の絵を担当していた
切り出した絵)の原画展の予定だったのですが、そのあとに
「とと姉ちゃん」「花束を君に」のことが動き出し、これは
貼り絵と切り絵、両方ご覧 頂ける展覧会にしよう!と 方向転換
したのでした。今まで、 個展 のタイトルが絵本になったことが
あるのですが(あの個展のタイトルがいいのでは、と編集者が
提案してくださって、 出版物(これ ) のタイトルになった事が
あるのですが、この個展も、今度はこの絵も表紙になって、
来年、同題「貼リ切ル」で、出版物が出る予定です。
どうぞ、お楽しみに。
*
後日追記
こちらが、作品集「貼リ切ル」 です!
(関連記事はこちら )
*
その奈良での個展が終わってから、 6月 に東京で運命的な
再会がありました。十数年前に、まだ遠方で展覧会をした
事がなかった頃に、新潟の佐渡で何か展覧会を、と誘って
くださった方と友人の展覧会で遭遇して、アレヨアレヨと
いうまに9月に佐渡でのハロー!ブックス に参加する事に
なりました。 スピード実現。参加者の皆さんも面白い 方が
多く、仕事だけど久しぶりの旅気分を味わいました。
その 直後、10月には初めて九州上陸、小倉 で「とと姉ちゃん」と
「花束を君に」、「かげはどこ」「スタイルアサヒ」の 原画展と
いう、今年発表の仕事大集合みたいな企画も。お声がけ下さった
朝日広告社 の方の熱意や、初めての ラジオの公開放送、初めての
サイン会!も印象的でした。「とと姉ちゃん」の放送が 終わった
ばかりの時の10月の事。 「とと姉ちゃん」の 原画は、東京の
NHIKスタジオパーク や、金沢・ しいのき 迎賓館 などにも巡回
しました。*こちらはNHKサービスセンター・企画、運営
*
VIDEO
今まで(18年間)、上の動画のような切り絵をやって来て、最初は割と
意識的に「辻恵子さんといえば切り絵の人だよね」とか「切り絵と
いえば辻恵子さんっているよね」とか思っていただけるまでは切り絵を
メインに、と思っていたのですが、もし、そうなったらあとは自由に:
それ以外の絵もいろい創りたい、でも「まだまだ」なんだろうなあ、と
と思っていたのが、「とと姉ちゃん」の冒頭映像の【貼り絵】を製作
した【切り絵作家の】辻恵子さん、と、ややこしいことになって、未だ
肩書きをどうするか問題は落ち着いていないけれど、(貼り絵作家、と
名乗ったことはないので…年明け、某お仕事で初めて名乗りますが)、
何で作ろうと、君は君だ、と何かが取っ払われた感じの年でした。
例えば貼り絵:朝ドラなどの影響で、2003年に月刊絵本として刊行された
「かげはどこ 」が単行本化されました。これは、本当に嬉しかった。
月刊絵本が単行本になるというのは滅多にないことだからということも
ありますが、私にとっては初めての絵本のお仕事なので。
そして、線画 のお仕事もできて嬉しかった年です。景山えりか・著の書籍
「月整活 」や、ホテルメトロポリタンエドモントのテーブルマナーブック
(冊子)の二つ。昔から個展にいらしてくださる方などには、線画は実は
人気があって、いつか線画だけの展覧会もできたらなあーと夢見てます。
先述の「月整活」や、マナーブックしかり、文字 の仕事も手がけました。
切り絵作家としての仕事もいろいろ。雑貨店アンジェの季刊フリー
ペーパーの表紙や、 エデュケーション・フォー・サステイナブル・
ディベロップメント: ESD のお仕事も切り絵で製作。
マーチ・エキュートの限定発売で、 初めてのマスキング
テープのお仕事も出来た年。いろいろ、盛りだくさん。
ところで、 今年の年賀状には、小さな頃に「さる」と言えずに
「たる」と発音していた事に重ねて、「たる」(足る)年に
なりますように、というような言葉を書きました。言霊、
すごいわあ、足るというか、なんというか、今までにない
濃厚な年でした。 たくさんの方にお世話になりました。
来年は、さいごの「とと姉ちゃん」の余波かもしれない、
例の(上の「貼リ切ル」の記述、参照)出版物が出ます。
どうぞお楽しみに、来年もどうぞよろしくお願い致します!