2019/08/21

ニエンテでの作品展会期中の事:線画、読書の事など








8/2から始まっているニエンテでの辻恵子作品展の会期中のこと、もうずいぶん時間が経ってしまいましたが(書いているのは8/21です)、ざっくり書き留めておこうかと思います。      

会期の始め、数日は在廊中にチラシを送る作業(手紙書き)をしていたのですが、あとは会場で配るだけでいいかな、というくらいになってからは、さて、何しよう?となりました。  

会場の夏休みの最後の日に、某・紙の会社の女性の社長さんとお話をした時に頂いた自社製品の紙を試してみたいのもあり、以前から描いてみたいなあ!と思っていた、モデルの髙橋真理さんインスタグラムを見ながら、素描を描いてみました。   

*展示はしておりません、会期中に描いてるだけです



その次の日は、マリさんと、ユカワさん(これは一緒に美術館に行った時撮った写真をモデルに)、:樋口佳絵さんのインスタ見つつ、描き描き。


先日いただいた、富国紙業のWRAPALLET・パレットペーパーという紙に。




そのほかの時間は、読書をすることにしました。


\わー、分厚いねえ!/

…と言っているように見えるバッグは、先述の樋口佳絵さんの絵のものです。*樋口さんは、仙台を拠点に活動しているアーティストです。



分厚い本は、今まだ途中なのだけど「自転車泥棒」という題名です。台湾の呉明益(ご・めいえき)さんの著書で、茶飲友達で中国語の翻訳家だった天野健太郎さんが最後に訳した本でもあります。11月に亡くなったあと、来日した呉明益さんがサインを入れた本を12月に買って(なんでもブログに書いておくもんですね、忘れっぽい私なので)、やっと読み始められた一冊。何より、これを読んでいる・作品展の会場が自転車屋っていうのが何だか面白い偶然。


こんな風にカゴに入れて写真を撮ってみたりして。




「自転車泥棒」を読み始める前には、同じ天野さん訳の「台湾少女、洋裁に出会う」を読みました。こちらは、1日で読めてしまったかな。前に書いた気もしますが(ここかな)、天野さんがまだ本格的に翻訳家として活動を始める前に、「台湾にはこんな面白い・訳すべき本が色々あります、興味があったらいかがでしょう」というような作品のリストを、当時たまたま文芸誌の挿絵を手がけていた私、編集者に送ってもいいかと 仲介役のようなことをしたのですが、その中に、この本の要約もあったのです。私自身、母が洋裁をする人なので、この本の内容は何となく覚えていた。亡くなってから、「あ!この本、出版されていたんだ!本になってたんだ!よかったね天野さん!」と、遅ればせながら思った一冊です。



本つながりでいうと、ニエンテ(会場名)がイタリア語なのでニエンテの店主に、マルティーナ・ディエゴさんの「元カノのキスの化け物」という本を貸しました。イタリア人の料理人の友人・パオロさんの友人で、パオロさんから頂いた本なの  ですが、谷川俊太郎さんの詩集をイタリア語訳したり、この、日本語の詩集を出版するほどの日本語の使い手。昨年の個展で初めてお会いすることができました。そしたら、本を店主に 渡した次の日に、いらしてくださって、残念ながらお会いできなかったのだけれど、芳名帳に「NIENTEからTUTTOを作るのはすごい!」と書き残して行ってくださいました。「無から全てを」の意味です。



無から、なんでもないと思われがちなことから何かを生み出す、という考え方は、実は私の 
切り絵作品(新聞紙など、特別な画材ではない紙から切り出す、自分で言うのもなんですが、独自のもの)を作るときに根底にある大事な、核のようなところがあって、わざわざ何か、絵を描くために画材を買ってきて作るより、 



そこにあるものを生かして、普通のハサミと、普通の新聞紙で、何か素敵なものができたら 
多分、フォアグラだの、キャビアを買ってきてそこそこ美味しいものが出来るよりも、残り物
なんかで、ちょっと工夫をすることで凄く美味しいものができた時の喜びのように、「もっと嬉しい」んだと思う、と言う考え方に通じて いて、それはウィリアムブレイクのAuguries of Innocenceの冒頭の有名な数行も同じく、(何度か書いているので上のリンクを参照)、以前、絵本の作者の言葉でこんな風に書いた事があるのですが、           



嬉しいことに、会場のニエンテに掲げられているお店のコンセプトというか、大事にしている考え方が、まさにこれで、ちょっと感動ものでした。 ↓






言葉つながりと言えるかもしれない、会期中の嬉しい再会。映画評論家の松本侑壬子さん(写真・左)もいらして下さいました。お友達もオシャレ!松本さんは、私が作家活動初期
に、大きな企業(東京電力)の画廊で展覧会をした時に偶然みてくださって、背中を押してくださるような言葉をかけてくださった方。ここに詳しく書いてあるので、よかったら。
絵は言葉がない表現だけれども、会期中の写真をみていたら(作品の写真あまりないくせに)本だとか、励まされる  言葉だとかについて感じるものが多かったので、展覧会 
そのものとは余り関係ないけれど(あ、でも会場の理念と私の作品の響きあいについてとかはお伝えできたかな!)ちょっと書いてみました。会期、9/1まで開催中です。 暑い中ですが、よかったらお立ち寄り下さいね。







辻 恵子 作品展
日時:2019年8月2日(金) 〜 9月1日(日) 12:00 ~ 19:00 
 会期中の休み:水曜日と8月13日〜16日、29日(木)
会場:【 niente と tokyobike 】小田急線・豪徳寺駅、世田谷線・山下駅から徒歩5分

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