梅雨の湿気のせいか眠い午後、外に出かけたほうが生産的だな!と、
外歩きの日にする。会期が明日までだという「中村誠の資生堂」展、
二度目の今回はインタビュー映像もしっかりと、観る。盛岡出身で、
肴町の薬局でみた資生堂のポスター(会場にもあった、青い背景に
女性の横顔の絵のもの)をみて綺麗だなあ、と思い古いポスターを
もらって模写したりしていたとか、当時は戦時中で、軟弱だと父親に
叱られたとか。そして、戦後、まだ化粧品を作る余裕もない時代に、
資生堂の取扱店に何も送る商品がないけれど挨拶状とともに送られた
原節子のポスターをみて、ここしかない!と会社に押しかけ働かせて
もらうようになったとか。尊敬するデザイナーを評した言葉のなかに
(彼の作品には)手仕事、汗と表現哲学がある、というようなことを
仰っていたの、先日私が中村さんの作品をみて"作り「手」を感じる
広告"と書いたのと共鳴して、少しうれしくなった。資生堂のAD
(アートディレクター)なんて、きっとキレキレの、怖い(まあ、
怖い面もお持ちだったのだろうけれども)人なのかと思っていたら
語り口のやわらかい方だったのも印象的だった。芯は、しっかり。
テレビCMのキャラクターとして、ポスターのモデルとして関わりあいの
あった山口小夜子さんには、「パーテー」(パーティー)で会っても
遠くから見ているだけだったとか。小夜子さんには、口きいてくれない
と恨まれる位だったけれど、それは彼女のイメージを大事にするため。
もの食う小夜子など見たくなかったそう。しばらくしてその訳を彼女に
話すと、彼の作品の自分が、どうしてあんなに変わるのかが分かったと
泣いてくれたそう。今日び、SNSやらで簡単に「友達」になって、気軽
ばかりが重宝がられるけれど、"ミステリアスな小夜子"を見せる一連の
作品には、彼女のよさを深く感じ取り理解しつつ、同時に作り手にすら
"わからない" 部分を保つ、ほどよい距離感があったのだと知る。
やわらかい語り口で語られた、とても深いお話を反すうしつつ
おとなりの資生堂で、クラシカルな化粧品を手に入れて帰る。
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♡ ))) 余韻を愉しみつつ、東京駅まで歩きました。
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トコトコ、カツカツ(ピンヒールでは歩けない、わたくし)